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田村 格良; 新居 昌至; 佐川 尚司
no journal, ,
受託研究である原子力イニシアチブ「機能場における水・プロトンの輸送現象の解明」に有効な冷中性子ビームを供給するため、JRR-3のC3冷中性子ビームライン曲導管部15.28mのスーパーミラー化による中性子輸送効率の向上を、平成23年度に実施する予定である。そのため、C3冷中性子導管の曲導管部における中性子ミラーの仕様検討を中性子輸送を計算するコード(McStas)を用いて実施した。具体的には、中性子ミラーのm値を変えた輸送計算を実施し、各m値におけるスペクトル及び輸送効率を明らかにして比較検討した。ここでm値とはNiミラーの輸送能力を1とした値である。m=3のミラーを採用した場合、C3-1及びC3-2ビームポートにおいてそれぞれ2.3倍及び2.1倍との計算結果が得られた。検討結果によりm=3の中性子ミラーを採用した中性子鏡管ユニットを製作した。製作した中性子鏡管ユニットのm値を確認するために中性子鏡管ユニットの特性測定を実施し、設計通りm=3の能力が確保されていることを確認できた。
金子 耕士; 松田 達磨; 石川 喜久*; 木村 宏之*; 野田 幸男; 門馬 綱一*; 泉 富士夫*
no journal, ,
大きなカゴというナノ空間を有する化合物において、カゴに内包される原子が置かれる特殊な環境により、優れた熱電性能や超伝導など、基礎・応用の両面において魅力的な特性が発現する。カゴの内部構造や、内包原子の運動と物性との相関について明らかにするため、中性子散乱実験を行った。配列ナノ空間を有する物質として、充填スクッテルダイトに着目した。同程度のカゴサイズを有する3つの化合物について単結晶中性子回折実験を行い、振動を反映した原子核密度分布を明らかにした。スクッテルダイトについて、内包イオンの異なるPrOsSbとNdOsSbではほぼ同様の核密度分布が得られたのに対し、PrRuSbでは分布の形状が大きく異なることを明らかにした。この結果は、物性を支配する原子の振動状態が、単にカゴの大きさだけで決まるのではなく、カゴを構成する電子状態と強い相関を持つことを示している。
長壁 豊隆; 山内 宏樹
no journal, ,
ピストンシリンダ式の限界である3GPaを超える高圧力下、及び低温下で単結晶中性子磁気回折を実現するため、WCアンビルとサポート式SiCアンビルを組合せた対向ハイブリッドアンビル式高圧力発生技術,静水圧力媒体の探索によるグリセリン媒体の発見、また、中性子スーパーミラーを円弧状に複数枚並べた熱中性子集光デバイスの開発、等の必要不可欠な要素技術の開発を行ってきた。その結果、JRR-3において現時点で、磁性イオンあたり1程度の磁気モーメントを持つ単結晶試料であれば、10GPaの超高圧力下で十分なシグナル強度で磁気反射を観測できるようになった。この技術開発によって、PrFeP, YbInCu, HoBC, CeモノプニクタイドやTbVO, CuFeOなど、多くの注目されている強相関伝導系物質について、超高圧力下で現れる特異な磁性現象を明らかにした。